写真は埼玉県坂戸市にある、朝焼けに染まる安行寒桜です。
春めいてきたので、ソメイヨシノよりも一足先に咲く桜の撮影に行ってきました。
3/15も過ぎて、今年の確定申告シーズンも終わり、ほとんどの方は、ほっと一息ついて、普段の業務に戻っていることかと思われます。
しかし、中にはまだ確定申告書の提出をしていなかったり、またはすっかり忘れていたり、そもそも出す気にもない方もいたりするかもしれません。
(そもそも出す気もない方は考えを改めてぜひ早めに出しておきましょう・・・)
今から作っても受け付けてくれるものなの?提出したとき怒られたりしないの?
何かとんでもないペナルティがあるのでは・・・
そんなペナルティがあるのなら、いっそのこと出さない方がいいのでは・・・
なんて考えている方もいらっしゃるかもしれません。
不安になるのはよくわかりますが、今からでも遅くありません!
なんかしら収入があって税金を納める必要がある方はぜひ早めに提出しておきましょう!
今から提出したら税務署に怒られる?
いえいえ、決して怒られたりしません。
その代わり、遅れて提出する人がいることや、そもそも申告書を提出しない人がいることを想定して、ルール(法律)は作られています。
そして、残念ながら(当然ですが)、遅れて提出した方にはそれなりのペナルティはあります。
しかし、税務署に指摘されるまで出さなかった方よりもそのペナルティは軽いものになるので、確定申告書を出すのを諦めることなく、ぜひ早急にちゃんと提出しておきましょう!
確定申告書を出さなかったら、どんなペナルティがあるの?
3/16以後に提出した場合には、期限後申告といって、無申告加算税と延滞税が課せられます。
無申告加算税
申告書の提出時期によって税率が変わってきます。
●かかる税金
(1)税務署から指摘される前までに、自主的に申告書を提出した場合:5%
(2)税務署から指摘されて、調査しますという通知を受けてから、実際に調査が始まってしまうまでの場合。
納付する税金が50万円以下の場合:10%
50万円を超える場合:50万円は10%、50万円を超える分は15%
(3)実際に調査が始まってからの場合。
もし、税務署からの指摘をスルーしてしまい、実際に調査が始まってしまいますと、ペナルティーはさらに5%上乗せになります。
50万円を超える場合:50万円は15%、50万円を超える分は20%
図にまとめると以下のようになります。
税務署からの指摘前 | 指摘前から調査が始まる前 | 調査が始まってから | |
納付する税の内50万円以下の部分 | 5% | 10% | 15% |
納付する税の内50万円超の部分 | 5% | 15% | 20% |
●具体例
では実際にどのくらい無申告加算税が課せられてしまうのか計算してみましょう。
期限までに納付する税金が80万円であったと仮定して
①税務署からの指摘前までに自主的に提出
80万円×5%=40,000円
②指摘前から調査が始まる前
50万円×10%=5万円
(80万円-50万円)×15%=4.5万円
合計95,000円
③調査が始まってから
50万円×15%=7.5万円
(80万円-50万円)×20%=6万円
合計135,000円
このように、申告書の提出が遅くなるにつれて納めなければならない余計な税金がどんどん増えていきます。
仮定の計算ですが、本来納付する税金が80万円の場合、申告書の提出時期によっては約10万円も違ってきてしまいます。
だからこそ、早めの提出が肝心になります。
●特例的に無申告加算税が課せられない場合
ただし、次のすべての要件をクリアした場合には特例的に無申告加算税が課せられません。
- 4/15までに自主的に申告書を提出していること。
- 納付する税金の全額を3/15(口座振替納付の手続をした場合は4/15)までに納付していること。
- 過去5年間、確定申告書を3/15までに、提出していること。
申告書が間に合わない場合には、期限内に多めに納付だけしておいた方がよい
上記見ていただくと分かるかと思いますが、万が一申告書の提出が遅れそうになる場合には、先に税金の納付だけはしておくか、口座振替の手続きだけは先にしておいたほうが無申告加算税が課せられない可能性があるので、やっておいたほうがいいです。
先に税金の納付だけと言っても、申告書を作っていない限り、いくらになるかわからないじゃないか、と思われるかもしれませんが、分からなくてもとりあえず多めに納付しておくことがコツです。
多く納付しちゃったら戻ってこないのでは?と思うかもしれませんが、そこは大丈夫。
正しい金額の申告書を後日提出した場合で、すでに納付した金額よりも少なければ、ちゃんと差額は還付されます。
もし、少ない金額しか期限内に納付していなくて、後で申告書を作ってみると、追加で納付しなければならない税金があった場合には、追加納付する税金につき、「過少申告加算税」というペナルティが課されてしまいます。
何度も申し上げますが、万が一、申告期限までに申告書を提出できない、といった場合には、期限内になるべく多めに税金を納付しておく、ということがコツです。
もし、今日現在(2018/3/21)まだ申告書を出しておらず、口座振替の手続きが済んでいて、かつ過去5年間きちんと申告書を提出している方であれば、無申告加算税がかからないので、早急に提出しましょう!
延滞税
次は延滞税です。申告書を提出した時期によって、一定税率で課される無申告加算税とは違い、完納するまでの期間に応じて日割りで計算されます。
●かかる税金
本来納付する税金を完納する日に応じて延滞税が変わってきます。
(1)3/16~申告書を提出した日から2月以内に完納した場合
本来納付する税金×2.6%×(3/16~完納した日までの期間)÷365
(2)申告書を提出した日から2月を経過した日以後に完納した場合
①+②の合計
①本来納付する税金×2.6%×(3/16~申告書を提出した日から2月を経過する日)÷365
②本来納付する税金×8.9%×(申告書を提出する日から2月を経過した日~
完納した日までの期間)÷365
●具体例
では実際にどのくらい延滞税が課せられてしまうのか計算してみましょう。
期限までに納付する税金:80万円
申告書を提出した日 :7/17
完納の日 :10/15
①800,000円×2.6%×186日(3/16~9/17)÷365=10,599円
②800,000円×8.9%×28日(9/18~10/15)÷365=5,461円
①+②=16,060円→16,000円(100円未満切捨)
無申告加算税に比べて、金額のインパクトは低いですが、余計な税金であることは間違いないので、早めに納付してしまったほうがよいです。
青色申告の取り消し
申告書の提出が遅れることのペナルティには、余計な税金を支払う他に、青色申告の取り消しがあります。
青色申告の取り消しは、2年連続で期限後申告をした場合、2年目の申告書は青色ではなく、白色になってしまいます。
しかも、取り消しの通知が来てから、1年間は、青色申告の再承認の申請書を提出することはできません。
青色申告承認の申請書は3/15までに提出しなければ、当年分からは青色申告にはならないので、結局翌年分から青色申告に戻ることになります。
結果、3年間は白色申告になります。これはかなり痛いペナルティです。
例
平成29年4月…期限後申告(青色申告で大丈夫)
平成30年4月…期限後申告(白色申告で提出)
平成30年7月…青色申告の取消通知
平成31年3月…期限内申告(白色申告)
平成31年8月…青色申告の承認申請書の提出(平成33年3月申告分から青色)
平成32年3月…期限内申告(白色申告)
平成33年3月…期限内申告(青色申告)
一度青色申告の取消がされると、3年間は白色申告にせざるを得ない。これは本当に痛いペナルティです。
申告書の提出が遅れたら還付されないの?
還付はされますが65万円控除はできない!
還付申告の場合には、還付はされますが、青色申告65万円控除は使えず、10万円控除になってしまいます。
(65万円控除を受けるための要件が、「法定申告期限内に提出する」必要があるためです。10万円控除については、この要件は必要ないのです。)
なので、65万円控除をすることによって還付される金額が多くなっている場合には、結果、還付金は減額されてしまいます。
他のペナルティはあるの?
還付されなかったり、上記のような無申告加算税が課されたり、延滞税が課されたりといったペナルティはありません。
もし、申告書の提出が遅くなったから、もう還付されないのでは、と諦めてしまっている方がいらっしゃればぜひ提出しましょう!
5年間はさかのぼって提出することができます。
しかも、過去5年間に提出した申告書が間違っていて、多く納付していることに気づいたら、還付請求をすることもできます(こちらは、「更正の請求」と言います)。
過去5年間に還付申告書を出し忘れている方は、全然還付請求することは可能なのでぜひ提出をしましょう。
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