【法人成り】これだけで十分!会社設立で税務署に出しておくべき5つの届出書

個人事業主時代よりも利益が出るようになったり、取引先からの要望されたなど、色々な理由により法人成りを検討されている方がいると思います。

今回は法人成りするにあたって、どんな届出書を出しておくべきなのか詳しくお伝えします。

【必須】法人設立届出書

内容

まず法人を作ったのであれば、「法人設立届出書」を提出する必要があります。

設立年月日・・・登記簿謄本を確認して「会社成立の年月日」を記載しましょう。
事業年度・・・定款「事業年度」を確認して記載しましょう。
資本金の額・・・登記簿謄本を確認して「資本金の額」を記載しましょう。

なお、「法人設立届出書」は税務署だけでなく、県や市など地方自治体にも提出する必要があります。
各自治体のHPには税務署と似たようなフォーマットの設立届出書のひな形がありますので、確認してみてください。参考として埼玉県の設立届出書は以下のとおりです。

提出先

会社の本店を管轄する税務署・県税事務所・市役所の3か所に提出します。
今まで個人事業主の場合の届出書は、税務署だけだったかと思いますが、法人成りすると、税務署・県・市の3か所に届出書や申告書を提出しなければならなくなります。

管轄する税務署が分からない方は以下に郵便番号を入れれば管轄税務署が分かります。

ちなみに、東京都の23区に本店がある方は、管轄する東京都税事務所だけとなりますので、2ヶ所になります(区役所は不要です)。

提出は「法人設立届出書」だけでなく、必ず「登記簿謄本」と「定款」も添付してください。
添付しないと、後から税務署や県税事務所などから電話がかかってきて、確認のため郵送などしてくださいと連絡されます。

提出期限

設立から2か月以内となります。
仮に2か月以内に提出できなかったとしても、罰則はありません。

【必須】個人事業主の廃業届出書

内容

個人事業での商売は法人に移管することになるので、個人事業主の廃業届出書を作成し、提出します。

廃業日・・・登記簿謄本を確認して「会社成立の年月日」を記載しましょう。
廃業の事由が法人の設立に伴うものである場合・・・法人名など記入しておきましょう

提出先

管轄の税務署に提出します。県・市などには提出は不要です。

提出期限

法人設立から1カ月以内となります
仮に1ヵ月以内に提出できなかったとしても、罰則はありません。

【必須】青色申告承認申請書

内容

青色申告を受けるためにはこの「青色申告承認申請書」の提出が必須です。
青色に自信がないという方でも、クラウド会計などを使えば割と簡単に複式簿記で記帳することができるので、青色の要件を満たすことができます。
なので、この申請書は必ず提出しましょう。

青色の一番のメリットは欠損金(赤字)を10年間繰り越すことができるという点です。
法人を設立するに当たって色々な費用がかさむため、初年度は赤字になることが多いです。
その赤字を10年間将来に向けて繰り越すことによって、将来黒字が出たときに相殺をして、税金を減らすことができるようになります。
その他のメリットとしては、黒字→赤字になった場合に、前年はらった税金の繰戻し還付を受けたり、減価償却の特別償却をして税金減らしたり特別な固定資産を買ったときに税額控除を受けて税金減らしたりといった優遇措置を受けられます。
出さなきゃ絶対損ですよ。


提出先

本店所轄の税務署だけです。
設立届出書は県・市などの地方自治体の提出が必須でしたが、青色申告は税務署だけとなります。

提出期限

法人を設立した日から3か月を経過した日、か、事業年度終了の日いずれか早い日の前日までとなります。
ちょっと分かりにくいですね。。

例えば9/16に設立した場合で、11/30が事業年度終了の日の場合

法人を設立した日から3か月を経過した日・・・12/16
事業年度終了の日・・・11/30
→いずれか早い日(11/30)の前日(11/29)が提出期限となります。

この提出期限だけは「絶対」に守ってください!
一日でも遅れたら初年度から青色申告は受けられません。(遅れても罰則はありませんが、白色申告のままです)

補足

個人事業主の時に青色申告承認申請書を出してあったから、法人成りしてもそのまま青色に引き継がれるだろうというのは間違いです!

個人と法人は別物なので、青色の効力は一切引き継がれません。

なので、個人時代ずっと青色であったとしても、法人はもう一度出し直しになりますので、ご注意ください。

【必須】給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

内容

会社が給料を支払う場合には、源泉税を天引きして、税務署に払わなければならなくなっています。
自分が法人から給料(役員報酬)をもらう以上、「給与支払事務所等の開設届出書」は提出必須となります。
仮に当分会社から給料(役員報酬)をもらわないと決めていても、先に出してしまっても問題ありませんし、不利益をこうむることもありません。
法人を設立したら、この届出書も一緒に提出してしまいましょう。

提出先

本店所轄の税務署だけです。
設立届出書は県・市などの地方自治体の提出が必須でしたが、青色申告と同様、税務署だけとなります。

提出期限

給与支払事務所を開設してから1カ月以内です。
仮に1カ月以内に出せなくても罰則はありません。

【任意】源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

内容

給料を払う時に所得税を天引きしなければいけないのですが、その所得税は基本的には払った月の翌月の10日までに税務署に払わなければなりません。
具体的にいうと、9/25に従業員などに給料を支払う場合、10/10までに預かっている所得税を税務署に納付しなければなりません。

しかし、この「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することによって、毎月税務署に払う所得税を年に2回(7/10、1/20)にまとめて納付することができるようになります。

毎月払わなければならないものが、年に2回となるので、非常に便利です。
ただ、デメリットもあるのですが、年に2回しかないので忘れがちということと、忘れた場合には不納付加算税というペナルティがかかってしまい、年に2回のまとめてなのでペナルティが大きくなりがちになります。

なので、お客様のなかにはあえて毎月納付のままという方もいらっしゃいます。

一応条件がありまして、給料を払う人数が9人までの場合だけこの届出書を提出することができます。
10人以上だと、毎月納付が強制されます。

提出先

本店所轄の税務署だけです。
設立届出書は県・市などの地方自治体の提出が必須でしたが、青色申告と同様、税務署だけとなります。

提出期限

提出した日の翌月分から有効となります。
具体的には、9/25にこの届出書を提出した場合、10月に払う給料分から年に2回納付となります。
つまり、9月支払い分給料の源泉税は10/10に納付し、10月に支払う給料の源泉税から1/20納付になるというわけです。

まとめ

法人を設立した場合に出す5つの届出書について解説してみました。

他にも、「減価償却資産の償却方法の届出書」「棚卸資産の評価方法の届出書」「有価証券の一単位あたりの算出方法の届出書」などもありますが、よっぽどピタっと当てはまる業種でない限り、実務的には大きなメリットもないので、説明は省略させていただきました。

また、消費税の課税事業者を選択する場合などは「課税事業者選択届出書」などの提出が必要になりますが、あえて記載はしておりません。

今回解説させていただいた5つの届出書は義務であったり、任意であってもメリットが大きいものなので、忘れずに提出してくださいね。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

小幡剛史(おばたたけし) 1984年5月15日生 2018年12月に独立した30代のさいたま市浦和区の税理士です。 クラウド会計を活用して経理効率化が得意です。 二児の父です。 週末はスーパーに開店前から並んで、賞味期限ギリギリ激安おつとめ品をゲット!することが最近のマイブームです。 趣味はバイク(ゼファー750RS)・写真(NikonD610)・家庭園芸・DIY・レザークラフト・山登りです。