セルフメディケーション税制と医療費控除の違い

セルフメディケーション税制ってどういうもの?

12月に入り、インフルエンザやら風邪やら流行り始めるこの季節、体調管理をしっかりしていきたいですよね。

今回は今年度から始まるセルフメディケーション税制と医療費控除との違いについて書いてみたいと思います。

概要

ざっくり説明すると、2017年1月以後に、ドラッグストアーや薬局などで対象となる薬を買ったり、インフルエンザの予防接種を受けたり、定期健康診断を受けたりすると、税金が安くなる制度です。

制度ができた背景

医療費控除というものを、何となく聞いたことある方も多いかと思いますが、その特例措置として、セルフメディケーション税制というものができました。

ほとんどの方はお医者さんにかかると3割負担になっていることと思います。
残りの7割は公的機関が負担していることから、その公的機関の医療費の負担を少しでも下げるために、健康維持にかかる支払については、税金を少なくしてあげますよという観点から、セルフメディケーション税制が作られたわけです。

なので、医者にかからず、自分で病気を治してますよー、とか、予防接種をして健康を維持してますよー、といった人を対象とする制度になります。

どのくらい買えば安くなる?対象となる薬は?

12,000円以上セルフメディケーション対象となる薬を買ったり、予防接種等を受けたりしないと、セルフメディケーション税制を受けることはできません。また、12,000円以上買えば無制限に税金が安くなるわけではなく、100,000円までの購入に限られます。

つまり、100,000円分対象となる薬を買った場合には最大で、100,000円-12,000円=88,000円の所得控除を受けられます。

対象となる薬は、薬を買うときにパッケージに「セルフメディケーション税制対象商品」と書かれていたり、下のロゴマークがついていますので、見てみましょう。

 

また、レシート(領収書)にも、セルフメディケーション税制適用の旨が記載されていますので、こちらも見てください。

詳しい商品について知りたいという方は、厚生労働省のサイトに「対象品目一覧」がありますので、こちらをご覧いただければと思います。

また、あまり知られていませんが、定期健診予防接種なんかも対象となります。ただし定期検診の場合には原則保険者が記載されていることが条件になりますのでご注意ください。

いくら税金がやすくなる?

12,000円を越えたら越えた分だけ税金が戻ってくるのでは?と誤解されやすいのですが、こちらは所得控除といいまして、税率をかける前の所得金額から差し引く制度になります。

(所得金額-医療費などの所得控除)×税率(住民税を含めると15%~55%)

なので、12,000円を越えた分の15%~55%が戻ってきます。全額戻ってくる訳ではありません。

 

医療費控除とセルフメディケーション税制、どっちが得?

セルフメディケーション税制は医療費控除と選択制になりますので、ダブルで適用を受けることはできません。

そして、セルフメディケーション税制だけ対象となる支出があったり、医療費控除だけ対象となる支出があったり、セルフメディケーション税制も医療費控除どちらも対象となる支出がありますのでややこしいです。

図にすればこんな感じです。

例えば、

・治療のために医療機関に受診…医療費控除のみ対象(Aの部分)

・インフルエンザの予防接種…セルフメディケーション税制のみ対象(Bの部分)

・セルフメディケーション税制対象となる薬局で買う薬…どちらも対象(Cの部分)

そして、控除となる金額のイメージはこんな感じです。

医療費控除のほうは、10万円が足切り(給料が約3,120,000円以上の方のみ。それ以下の方だと、足切り額も下がりますので、別途計算が必要になります。)になりますので、足切りを越える金額が対象となります。

一方、セルフメディケーション税制は12,000円が足切り(医療費控除と違い、所得の多い少ないに関係なく、一律で12,000円が足切り)になりますので、それを越える金額が対象となりますが、10万円が頭打ちになります。(最大で88,000円が控除対象)。

 

具体例を見てみましょう。

 

・薬局で買ったセルフメディケーション税制対象の薬代…50,000円

・同居家族4人の予防接種代…16,000円

・医者にかかった通院治療費…100,000円

①医療費控除

医療費控除の対象となるのは、
薬局の薬50,000円、通院治療費100,000円、合計150,000円
所得控除対象は、150,000円-100,000円=50,000円

 

②セルフメディケーション税制

セルフメディケーション税制の対象となるのは、
薬局の薬50,000円、予防接種16,000円、合計66,000円
所得控除対象は、66,000円-12,000円=54,000円

①<②
∴セルフメディケーション54,000円が有利

一見して医療費控除の対象となる支払いの方が多いので、医療費控除を使ったほうが有利に見えるのですが、
実際に計算してみると、セルフメディケーション税制の方が有利になるケースもあります。

 

手続方法

医療費控除と同様、ご自身で確定申告する必要があります。会社に提出して年末調整で還付してもらうという方法は使えません。

 

まとめ

セルフメディケーション税制と医療費控除について書いてみました。
医療費控除の対象か、セルフメディケーション税制対象かは関係なく、とりあえず医療費関係のレシートは保存しておきましょう。
12,000円を越えるようならセルフメディケーション税制の適用を受ける可能性があります。
100,000円を越えるようなら医療費控除の適用も受けられる可能性があります。
医療費控除の対象と、セルフメディケーション税制の対象は重なるものもあれば、そうでないものもあるので、それぞれで対象金額を集計し、どちらが有利かを計算してみましょう。

 

 

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

小幡剛史(おばたたけし) 1984年5月15日生 2018年12月に独立した30代のさいたま市浦和区の税理士です。 クラウド会計を活用して経理効率化が得意です。 二児の父です。 週末はスーパーに開店前から並んで、賞味期限ギリギリ激安おつとめ品をゲット!することが最近のマイブームです。 趣味はバイク(ゼファー750RS)・写真(NikonD610)・家庭園芸・DIY・レザークラフト・山登りです。