締め日後の売上・仕入計上について

平成30年度の税制改正で、今まで通達でしか明らかにされていなかった、売上計上の時期が、法令で定められるようになりました。
今回は、その売上計上の時期に関連して、締め日から月末までの間になされた売上と仕入の取扱について書いていきたいと思います。
普段の試算表を作る段階では気にしなくてもよいのですが、決算作業特有の処理になっていますので、処理漏れがあると、税務調査で指摘されたり、または指摘はされないけど税金で損をする可能性があるので、ご注意いただければと思います。

締め日後の売上(帳端売上)計上とは

お客さんとの間で、納品物を20日や25日で一旦締め切り、翌月まとめて請求する、という取引は商慣習としてよくあるかと思います。
例えば締切が20日だったとして、21日から決算日である月末(30日or31日)までの売上を「帳端売上」といいます。
締切日が月末30日or31日であれば、締切日後の売上計上を考えなくてよいのですが、例えば3月に決算を迎えるとして、3/20までに締め切った場合でも、3/21~3/31までに納品したものがあれば、原則としてそれは今期の売上に計上しなくてはなりません(ただし例外あり)。

お客さんの締め日に合わせています、は理由にならない

うちはすべてお客さんの締め日に合わせて売上計上しているから云々、というのは税務調査でまったく理由になりません。
あくまで3/31までに納品した(引き渡した)分までを今期の売上に計上しなくてはならないからです。
なので、お客さんの締め日が~とか、うちの締め日が~とかは関係ないのです。
参考までに、法人税法基本通達では売上に計上すべき時期を「引渡基準」で判断しています。
ちなみに物の引き渡しが無いサービス業については、「サービスを行った日」で考えます。

 法人税基本通達
(たな卸資産の販売による収益の帰属の時期)
2-1-1  棚卸資産の販売による収益の額は、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。

 

建物などの固定資産についても引渡基準

今までは売上の計上時期について、「引渡基準」で処理しないと、のちのち税務調査で引っ掛かりますよ、という話でしたが、売上には計上しない、自社で使用していた土地建物などの固定資産についてはいつの時点で売却の事実を認識するのか、というと、これも売上と同様、原則は「引き渡した日」です。
売買契約書を締結した日ではなく、鍵を引き渡した日や、不動産登記を行った日が原則となります。

ただし、例外として契約書を締結した日で売却を認識しても認められることになっています。

 

 法人税基本通達
(固定資産の譲渡による収益の帰属の時期)
2-1-14 固定資産の譲渡による収益の額は、別に定めるものを除き、その引渡しがあった日の属する事業年度の益金の額に算入する。ただし、その固定資産が土地、建物その他これらに類する資産である場合において、法人が当該固定資産の譲渡に関する契約の効力発生の日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。

 

締め日後の売上計上にも例外的な取り扱いがある

締め日後の売上計上は漏らさないようにしなければならないと説明しましたが、実は締め日後の売上を計上しなくてもよい決まりもあります。
ただし条件がありまして、以下2つの条件を満たしていることが必要です。

2つの条件

・毎期継続して、締め後の売上を計上していないこと。

・締め日が決算日からおおむね10日以内であること

 

 

ここで注意しなければならないのが、「毎期継続して」の箇所です。
前期は利益が取れなかったから月末まで売上計上、今期は税金が出そうだから締め日までを売上計上、といったように、都合良く売上の基準を変えることは許されていません。

毎期継続している前提であれば、20日が締め日の場合、3/21~3/31までを売上計上しなくても大丈夫です。

 法人税基本通達
(決算締切日)
2-6-1 法人が、商慣習その他相当の理由により、各事業年度に係る収入及び支出の計算の基礎となる決算締切日を継続してその事業年度終了の日以前おおむね10日以内の一定の日としている場合には、これを認める。

 

締め日後の仕入計上について

仕入も締め日後の分を計上しなければならないの?

売上については原則として締め日後は計上しなければならない、と説明しましたが、では締め日後仕入については、売上と同様計上しなければならないものなのでしょうか。

結論から言うと、しなくても大丈夫ですが、無駄に税金を支払うことになってしまいます。
しなくても大丈夫、というのは、余計に税金を支払う結果になるからです。
税務署は本来納付すべき金額よりも少なく税金を申告した場合には、追徴課税してきますが、本来よりも多く税金を納付した場合にはこちらから多く払いすぎた税金を戻す手続き(更正の請求と言います。)をしない限り、税務署は一切こちらに有利になることは言ってくれません。

締め日後を計上しないと余計に税金を支払うことに

売上原価の算定は

売上原価=期首棚卸+当期仕入-期末棚卸

で計算します。

例えば20日締切で仕入先と取引している場合、3/20までの仕入は帳簿上計上されています。
一方、期末棚卸は3/31に在庫を数える作業を行います(実地棚卸)が、この棚卸金額には3/21~3/31までに納品(仕入)されたものが含まれています。
そうなると、帳簿上の仕入の金額には3/21~3/31までに納品された金額は含まれていないことになり、その10日分は仕入計上もれ、となってしまいます。
仕入計上もれの場合には、売上原価が少なくなってしまう(つまり利益が過大計上となる)ので、結果払わなくてもよい税金を払うことになってしまいます。
さらに、消費税ついてですが、消費税は、実際に納品されたら、その商品にかかる消費税分を、納税する消費税から差し引くことができますが、3/21~3/31までに納品された商品については仕入認識していないので、結果、その10日分の仕入に係る消費税を損してしまうことになってしまいます。

仕入の締め日後を計上していないと

法人税・消費税を余分に納付することになる

・締め日後に仕入れた商品の金額×法人税・住民税(約30%)

・締め日後に仕入れた商品の金額×消費税(8%)

 

 

上記の税金を今期に余計納付しなければならなくなります。

もちろん翌期には仕入計上されるので、翌期にはその分の税金は取り戻せますが、資金繰りの観点からも、先にお金が出てしまいますので、きちんと経理処理したほうがよいことは明らかでしょう。

まとめ

今回は締め日後の売上・仕入について書いてみました。
普段の試算表の段階から締め日後売上・仕入を計上している場合には、決算の時に慌てなくて済みますが、試算表作成段階から、きちんと締め日後の計上までされている方は中々いらっしゃらないかと思います。
大多数の方は決算の時、年に1回だけの処理になるので、忘れがちですし、間違いやすい論点になりますので、ご注意ください。

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ABOUTこの記事をかいた人

小幡剛史(おばたたけし) 1984年5月15日生 2018年12月に独立した30代のさいたま市浦和区の税理士です。 クラウド会計を活用して経理効率化が得意です。 二児の父です。 週末はスーパーに開店前から並んで、賞味期限ギリギリ激安おつとめ品をゲット!することが最近のマイブームです。 趣味はバイク(ゼファー750RS)・写真(NikonD610)・家庭園芸・DIY・レザークラフト・山登りです。