前回の記事で、固定資産と交際費の関連について紹介しましたが、建物や備品などの有形固定資産を購入した場合の取り扱いについて、説明したいと思います。
固定資産とはどういうもの?
簡単にいうと、
- 自ら使用するもの(販売用ではない)
- 一年を超えて使用すること
- 金額が10万円以上
上記3つに該当したのものを購入した場合には、固定資産として計上します。一度に費用として処理することはできません。
一旦貸借対照表の左下にある固定資産という場所に表示して、そこから、耐用年数に応じて徐々に固定資産の金額を取り崩し、費用計上していきます。
例えば100万円の車を購入し、耐用年数が5年の場合、一年に100万円÷5年=20万円ずつ費用化していく、といったイメージです。
固定資産を購入したときに発生する費用は?
例えば車を買ったときは、自動車税等の税金や納車費用、リサイクル預託金が発生したり、複合機を買った場合には、フィニッシャー(ホチキス・パンチ機能)などの付属物や、試運転費用などが発生します。
こういった、本体に付随する費用、(例えば納車費用)の場合にはついつい、支払手数料などの費用科目で処理したくなってしまいますが、性質によっては固定資産に含めないと、後日税務調査で指摘され、多くの税金を追加で支払わなければならなくなります。
固定資産に含めるべき付随費用と費用計上してもよいもの
では、どのような付随費用は固定資産計上すべきで、どのようなものが、そのまま費用計上できるのか。
まずは、固定資産に含めるべきものですが、イメージとしては、「その資産を使うに当たって支払った費用(例外あり)」と「本体と一体となっているもの」は固定資産に計上することになります。
例えば上記の車の購入だと、納車費用は、車を使うに当たって支払った費用なので、固定資産に計上します。
例外ありと書いたのは、自動車税などの税金ですが、こちらは車を使うに当たって支払った費用となるので、一見固定資産に計上しないといけないのでは?と思います。
しかし、税金関係は例外的に固定資産に計上せず、費用処理することが認められています。
また、「本体と一体となっているもの」ですが、上記の複合機のフィニッシャーがあてはまります。
複合機と一体になって使用するものなので複合機と合わせて固定資産として計上しなければなりません。フィニッシャー(ホチキス・パンチ機能)自体単独で使用することはしませんよね?
もし複合機から独立して、それ自身で使用できるものであれば、その独立したもの単体の価額(10万円以上か)で固定資産計上するかを判断します。
これは余談ですが、リサイクル預託金について。
これは費用ではなく、資産として処理しなければならないです。理由ですが、リサイクル預託金というものは廃車するときに発生する費用を予め徴収しておく、という性質のものになりますので、廃車したときに初めて費用処理することになります。
なので廃車するまでは前払費用などの資産科目で処理することになります。
また、途中で車を売った場合には、費用化されます。
さらに話は逸れますが、リサイクル預託金の消費税の取り扱いについて。
車を売った場合のリサイクル預託金の処理は、債権の譲渡になるので「非課税」、廃車した場合には、「課税」になります。
一方、固定資産に含めなくてよいものですが、税務署の出すお達し(通達)によって限定的に定められています。
詳細を知りたい方は、以下国税庁のホームページの該当部分をご覧いただければ。
上記の税金関係、借入金利息などですが、一番当てはまりやすいのは、やはり税金関係だと思います。
費用計上できる付随費用を固定資産計上しても問題ない?
固定資産に計上しても、税務署から指摘されることはありません。
なぜなら税務署は、より多く税金を支払ってほしいと考えているからです。
費用計上が認められているにも関わらず、固定資産として計上することによって、結果的により多く税金を支払うことになるので(耐用年数を経過してしまえば支払う税金は一緒ですが)、税金計算で不利な方を選んでも、全く問題視しないのです。
そして、わざわざ有利な取り扱いを教えてくれることもありません。
まとめ
今回は固定資産の取り扱いと、付随費用の取り扱いについて書いてみました。
固定資産しなければならない付随費用は本体価格に入れて固定資産計上し、入れなくてもよい税金関係は費用計上して、納める税金を減らしましょう。
費用計上できる税金関係を本体価格に入れても、税務調査では全く問題にはなりませんが、逆のパターン(本体価格に入れなければならないものを費用計上してしまう)は追徴課税されてしまいますので注意しましょう。
次回は30万円未満の固定資産を購入した場合の取り扱いについて説明したいと思います。
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