前回の記事で交際費の概要と、交際費・会議費の違いについて説明しましたが、
今回はちょっと深堀りして、製造業や建設業などで棚卸資産や固定資産取得のために
交際費を支出したケースについて考えたいと思います。
固定資産・棚卸資産に交際費が入った場合でも、申告しなければならない
例えば建設業なんかで、土地取得のために周辺住民の同意を得るために迷惑料として物品や現金で支払う場合があるかと思います。
会計上、このような支出は、土地の取得に要するものとして土地勘定に含めて処理します。
この場合、そもそも支出した交際費は、土地勘定に入れているため、費用計上していないことから申告するうえで交際費として取扱う必要なんてないじゃないか、と思われるかもしれません。
しかしながら、たとえ固定資産や棚卸資産、果ては仮払金など、貸借対照表上で処理したとしても交際費として交際費を支払ったとして申告しなければなりません。
特に、建設業など交際費が多く発生しがちな業種については、意外と見落としがちなポイントなので要注意です。
例
会計上の利益 100万円
交際費総額 1,000万円(うち、土地の価格に入れた分は100万円)
税金計算上の利益は
会計上の利益100万円+土地の価格に入れた交際費100万円=200万円
参考
租税特別措置法
(交際費等の支出の意義)
61の4(1)-24
措置法第61条の4第1項に規定する各事業年度において支出した交際費等とは、
交際費等の支出の事実があったものをいうのであるから、次の点に留意する。(平6年課法2-5「三十一」により改正)
1. (1) 取得価額に含まれている交際費等で当該事業年度の損金の額に算入されていないものであっても、支出の事実があった事業年度の交際費等に算入するものとする。
申告しなければならないけど、費用化できるルールもある
このままだと、交際費として費用計上していないにも関わらず申告しなければならないため、
800万円以上交際費を使っている場合だと、交際費分だけ税金を余計に支払わなければならなくなってしまいます。
しかし、それを調整するための規定として、以下の計算式で算出された金額を、費用計上することができます。
固定資産等から減額できる金額=交際費で800万円を超えた部分の金額×固定資産の含まれている交際費÷交際費の総額
上記の例を当てはめると、
100万円
20万円=200万円×────────
1,000万円
20万円を固定資産や棚卸資産等の取得価額から減らして、費用化してもよい、ということになります。
注意点としては、こちらは決算書上で費用化してもいいし、申告書で費用化(損金)処理してもいいのですが、これをし忘れて、後から修正申告しようと思ってもできません。
忘れて余計な税金を支払わないよう、知っておいて損はないと思います。
参考
租税特別措置法
(原価に算入された交際費等の調整)
61の4(2)-7(抜粋)
法人が支出した交際費等の金額のうちに棚卸資産若しくは固定資産の取得価額に含めたため直接当該事業年度の損金の額に算入されていない
部分の金額がある場合において、当該交際費等の金額のうちに損金の額に算入されないこととなった金額があるときは、確定申告書において、当該原価算入額のうち損金不算入額から成る部分の金額を限度として、当該事業年度終了の時における棚卸資産の取得価額等を減額することができるものとする。
この場合において、当該原価算入額のうち損金不算入額から成る部分の金額は、当該損金不算入額に、当該事業年度において支出した交際費等の金額のうちに当該棚卸資産の取得価額等に含まれている交際費等の金額の占める割合を乗じた金額とすることができる。
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