マネーフォワードなどのクラウド会計を使って、自分で入力して帳簿を作成されている方も多いと思いますが、データを登録したあと、ちゃんと見直しは行っていますか?
この見直しを行わないと、損益状況が正しく表示されなかったり、売掛金の未回収があることをいつまでも気づけなかったり、といったことがあります。
じゃあ実際、どのやって数字を見直しを行うのか?
今回は、数字の「見直し」について、マネーフォワードを使った具体的なやり方をお伝えします。
残高試算表で見直しを行おう
まずは残高試算表を開きます。
マネーフォワードの場合、「会計帳簿」─「残高試算表」をクリック。
その後、「選択期間」を入力が完了している期間までをドラッグで選択し、「検索」を押します。例えば、3月まで入力完了している場合には、「1月~3月」までのようにします。
これで試算表を見る準備ができました。
貸借対照表の金額の確かめ方
現金・預金
現金のチェックの仕方
まずは、現金・預金からチェックします。
3/31時点で実際にあるかどうかを確認します。右側の「期間残高」を見てみましょう。
まずは現金の場合です。
「現金出納帳」を別途作成している方は、その「現金出納帳」とマネーフォワードの「現金」残高が一致しているかを確認します。
一致していなかった場合には、何らかの間違いがあります。その場合には、原因を追究しなくてはなりません。
- マネーフォワードで経費の計上モレがある。
- 個人事業主の場合、プライベートで使ったお金を入力していない。
(事業主貸 / 現金 の仕訳がモレている) - 売上が実際よりも多く計上されてしまっている。
- マネーフォワードで売上の計上モレがある。
- 経費が実際よりも多く計上されてしまっている。
しかし、現金は履歴が残らないため、原因追求するのは意外と大変です。
現金出納帳を作成していない場合には、現金勘定を使わないようにすればいい
売上の入金が預金口座での振込だけで、現金での入金がない場合(経費の支払いしか現金を使っていない)には、現金勘定は無くしてしまった方が楽ちんです。
というのも、現金というのは、預金のように履歴が残らないため、自分で別途「現金出納帳」を作って履歴を残すようにしなければ、きちんと管理できません。
しかし、この「現金出納帳」、作るのは意外と手間がかかるため、小規模の事業者の方にとっては、負担が大きいと思います。
なので、いっそのこと現金の管理をなくしてしまったほうがよいです。
そして現金を無くすためには、なるべくクレジットカードでの支払いにしちゃいましょう。
そうすれば履歴は残るし、マネーフォワードだと自動で入力できるし、といいことづくめです。
キャッシュレスがどんどん進む世の中ですから、この際現金を利用することをやめてみてはいかがでしょうか。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
管理がめんどくさい現金勘定は使わないようにしよう
預金のチェックの仕方
マネーフォワードなどのクラウド会計の場合、預金口座は自動で連携されるため、口座は合っているはず・・・
とは思わずに、必ず「通帳」や「ネットバンキング」などで正しい残高を確認するようにしましょう。
というのも、クレジットカードやsquareなどの決済サービスを色々と連携している場合、そちらの連携データで入出金のデータが仕訳として連携されているのにも関わらず、銀行データでも仕訳を登録してしまうと、二重で仕訳計上してしまいます。
結果として、預金残高が合っていない、てことになってしまいます。
ですので、「預金は合っているはず」なんて思いこまず、通帳やネットバンキングなどと、帳簿上の残高が一致しているか確認するようにしましょう。
売掛金
次は売掛金のチェックです。
中々慣れないと数字の羅列にしか見えないと思いますが、この意味していることを読み取れるようにしましょう。
「前期残高」…前期から繰り越されてきた金額になります。
「借方金額」…売掛金が「増加」した金額=売上が発生した金額になります。
「貸方金額」…売掛金が「減少」した金額=入金があった金額になります。
「期間残高」…指定期間末日での残高になります。
補助科目(お客さん)ごとにしっかり見ていきます。
- aaaの場合
期中に500,000円の売上が発生しています。末日時点ではまだ入金はされていないようです。それで正しいようであれば、これはこのままでOKです。 - bbbの場合
期中に50,000円の売上が発生し、すでに全額回収されていて、末日時点ではゼロになっています。それで正しいようであれば、これはこのままでOKです。 - cccの場合
期中に150,000円の売上が発生し、149,460円の入金がありました。540円だけ残っているようですが、おそらく振込手数料を差し引いて入金された模様です。
振込手数料がうち負担ということであれば、売掛金はゼロにしなくてはいけません。「振込手数料 / 売掛金 540円」という仕訳を作成し、売掛金をゼロにします。振込手数料は先方負担であるという契約であれば、先方に交渉するべきでしょう。 - dddの場合
期中売上がないにも関わらず、80,000円の入金がありました。
この場合考えられるのは、
・本当は売上があったけど、うちの売上計上がモレていた。
・売上がないにも関わらず、dddさんが間違えてうちに入金してきた。
のどちらかです。速やかに原因を確認しましょう。
売上がモレていたのであれば、「売掛金 / 売上 80,000円」の仕訳計上を、間違えて入金されたのであれば、返金するか、次回の売上分に充当するなどの処理をしましょう。 - eeeの場合
前期から繰り越されてきた90,000円についてまったく動きがありません。入金時期が来月以後になる、ということがしっかり分かっているのであれば問題ないです。
しかし、入金時期が不明な場合には、いつ払ってくれるのか回収時期を先方に確認すべきです。
買掛金
次は買掛金のチェックです。
売掛金と同じようなチェックの仕方になるのですが、真ん中の「借方」「貸方」が売掛金とは逆の動きになります。
どういうことかというと、「貸方」が増加・「借方」が減少、になります。
「前期残高」…前期から繰り越されてきた金額になります。
「借方金額」…買掛金が「減少」した金額=支払があった金額になります。
「貸方金額」…買掛金が「増加」した金額=仕入が発生した金額になります。
「期間残高」…指定期間末日での残高になります。
補助科目(仕入先)ごとにしっかり見ていきます。
- aaaの場合
期中に30,000円の仕入が発生しています。末日時点ではまだ支払はされていないようです。それで正しいようであれば、これはこのままでOKです。 - bbbの場合
期中に150,000円の仕入が発生し、すでに全額支払がされていて、末日時点ではゼロになっています。それで正しいようであれば、これはこのままでOKです。 - cccの場合
期中に200,000円の仕入が発生し、199,460円の支払がありました。540円だけ残っているようですが、振込手数料を差し引いて支払いされた模様です。
振込手数料が先方負担ということであれば、買掛金はゼロにしなくてはいけません。「買掛金 / 振込手数料 540円」という仕訳を作成し、買掛金をゼロにします。 - dddの場合
期中仕入がないにも関わらず、80,000円の支払がありました。
この場合考えられるのは、
・本当は仕入があったけど、うちの仕入計上がモレていた。
・仕入がないにも関わらず、間違えて支払いをしてしまった。
・補助科目を間違えた。
のどれかです。速やかに原因を確認しましょう。
仕入がモレていたのであれば、「仕入 / 買掛金 80,000円」の仕訳計上を、間違えて支払ったのであれば、返金をお願いするか、次回の仕入分に充当するなどの処理をしましょう。 - eeeの場合
前期から繰り越されてきた30,000円についてまったく動きがありません。これから支払う、ということであれば問題ないです。
しかし、支払いを忘れているようであれば、先方に連絡するべきでしょう。
未払金
次はクレジットカードやアマゾンなどを連携している場合のチェックポイントです。
未払金も買掛金と同様、負債項目になるので動きとしては、買掛金と同じく「貸方」が増加・「借方」が減少になります。
これも基本的には補助科目ごとに見ていきます。
クレジットカードはとりあえず飛ばして、アマゾンから見ていきます。
アマゾンビジネスアカウント・通常のアマゾンアカウント共に「借方」・「貸方」同額で、残高はゼロになっていて、問題はないことが分かるかと。
次にクレジットカードです。
カードは前期残高・借方・貸方・期間残高どれもバラバラの数字になっていて、合っているのかがよく分かりません。
その場合には、元帳を見てます。そこで、「カード」の補助科目をクリックすると、
元帳画面に飛びます。
ここで、「借方金額」に注目。
「借方」は買掛金と同様、支払金額が載っています。3/27に11,213円の支払いがありました。
ではその支払いがどこに対応しているかと言うと、一番右側「残高」を下から上へと見上げていくと、2/27の残高で同じ11,213円があることが分かります。
こうやって見ていくと、発生残高(カードを使った金額)と減少(支払いがあった金額)が一致していることが分かり、正しく入力ができていることが分かります。
もしここで数字に一致しているものがないとすると、きちんと連携されていません。
その場合には「対象外」で登録しているカードの明細があるはずなので、「データ連携」─「登録済一覧」をクリック。
カード明細の明細一覧の「閲覧」をクリック。
そうすると、ステータスが「対象外」になっているものがあるはずなので、それを登録してあげれば、正しい数字になります。
損益計算書の金額の確かめ方
続いては、損益計算書です。
損益計算書は「残高試算表」よりも、「推移表」を見たほうが間違いや、モレに気づきやすいです。
左側「会計帳簿」─「推移表」をクリック。
上に、「貸借対照表」と「損益計算書」のボタンがあるので、「損益計算書」をクリック。
すると、損益計算書の推移表が表示されます。
この画面が表示できたら、上から順番に数字が正しく入っているか確認をしていきます。
見方としては、売上・仕入は感覚値とズレていないかで良いと思います。
上記の表には入っていませんが、毎月棚卸はきちっとやりましょう。
棚卸とは、月末時点での在庫の金額をカウントすることです。
棚卸をきちっとやることによって、売上総利益が正しく表示されるようになります。
続いて各経費については、毎月発生すべきものがきちんと入っているか、を確認します。
例えば、「水道光熱費」や「家賃」。これは事務所を借りていれば必ず発生するものなので、毎月数字が入っているかを確認します。
上の表だと、3月の地代家賃が0円で、4月に100,000円になっています。
こうなってしまうと、3月の経費が少ない(=利益が10万円多くなっている)状態になっていますので、正しい数字に直してあげる必要があります。
よくある原因なのが月末の振込で、月末が休日だと翌月に振り込む時です。
この場合には月末の経費はナシで表示され、かつ翌月の経費になっているので、上の表みたいに3月の家賃がゼロになってしまいがちです。
修正仕訳はこちら。
3/31 | 地代家賃 | 100,000 | 未払金 | 100,000 |
4/1 | 未払金 | 100,000 | 地代家賃 | 100,000 |
3月に家賃を計上する仕訳を入力しつつ、4月は費用を取り消す仕訳を入力してあげます。
ここまでやって初めて正しい損益が把握できる
貸借対照表・損益計算書、どちらも確認できて、やっと正しい損益を把握することができます。
また、毎月きちんと確認作業を行うことによって、数字を見て経営状況を理解できることができます。
こういった確認作業をすることなく1年間過ごして、確定申告の時だけ税理士に丸投げしてしまうと、臨機応変な経営判断はできません。
自分で経理をする、そして、経理をしたら数字のチェックする、ということを習慣づけるようにしましょう。
【編集後記】
今年も家庭菜園をやろうかと。
ゴーヤ、きゅうり、バジル、中玉トマト、ルッコラ、タイム、パクチーを植えました。ゴーヤは夏の暑い盛りには緑のカーテンができて日差しも遮ることができます。
私の家はマンションですが、ゴーヤは意外と大きく育つことができるのでオススメです。
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